表計算ソフトのエクセルは非常に便利です。
複雑な計算も、関数を利用することによって簡単に答えを出してくれます。
ところが意外と困るのが、エクセルの割り算で商とあまりを表示することです。
エクセル内での割り算では、割り切れないときは小数で表示されます。
今回は、エクセルで割り切れない場合の答えとして、商とあまりを表示する方法のご紹介です。
後半に、あまり他サイトでも取り扱っていない負の数(マイナス)の割り算についても解説いたします。
では、さっそくエクセルで割り算をしてみましょう。
エクセルの割り算は小数で表示される
エクセルの割り算は簡単です。演算子(/)で数式ボックスに=「割られる数」/「割る数」という数式を挿入するだけです。
下の図では、A列に「割られる数」、B列に「割る数」、C列に「商」を表示させた状態です。
ご覧になっていただくと一目瞭然ですが、エクセルは割り切れない計算は、小数で表示されます。
それではまず、割り切れない割り算の商を整数で表示する方法のご紹介からです。
割り切れない割り算の整数商を表示するINT関数
割り切れない割り算の整数商を表示するには、「INT関数」の利用が簡単です。
下図は、「INT関数」を利用して整数商を求めている状態です。
例として、下図はD2セルに「=INT(A2/B2)」という数式を入力し、D7セルまでコピーした状態です。
きちんと整数商が表示されているのがお分かりいただけますでしょうか。
「INT関数」のもともとの役割は、「切り捨てて整数にした数値を返す」という関数です。
これを割り算の式に利用します。
割り算のあまりを表示するにはMOD関数
続いて、割り算のあまりを表示する際に利用する関数は、一般的に「MOD関数」です。
「MOD関数」は2つの引数を必要とします。
下の関数の解説のように、1つ目の引数と2つ目の引数を除算(割り算)した剰余(あまり)を求める関数となります。
下図は、F列にあまりを表示する、「MOD関数」を入力した状態です。
きちんと割り算のあまりが表示されているのがお分かりいただけると思います。
さらに下図は、割り算を一つの式に表示した状態です。
下図ではI2セルに、「=A2 & “÷” & B2 & “=” & D2 & “あまり” & F2」と入力し、I7セルまでコピーした状態となっています。
ちなみに「&」は文字列をつなぐ、エクセルの演算子です。
ご覧のように割り算の商とあまりが、一つのセルに表示されました。
正の数の割り算は以上で問題ありません。
非常に簡単ですよね。
ただ、負の数(マイナス)の割り算は、「INT関数」では正確な商を求めることができません。
また、「MOD関数」も負の数(マイナス)の割り算では、正しいあまりを求めることができないのです。
そこで登場するのがもう一つの関数、「QUOTIENT関数」です。
負の数(マイナス)の割り算にはQUOTIENT関数を利用する必要あり
もう一つの割り算の商を求める関数、「QUOTIENT関数」の解説です。
「QUOTIENT関数」は、除算(割り算)の商の整数部を計算結果として返します。
引数は2つ、「分子」「分母」です。名前は難しいですが、非常にわかりやすい関数ですね。
下図は、割り算の商を「QUOTIENT関数」で求めた結果です。
正の数の割り算の商は「INT関数」と違いはありませんが、負の数(マイナス)になると商が違っていることがお分かりいただけると思います。
負の数(マイナス)の割り算の検算
果たして、負の数(マイナス)の割り算の商は、「INT関数」と「QUOTIENT関数」のどちらが正しいのでしょうか。
割り算の計算が合っているかどうかを確かめる方法として、検算と呼ばれる計算があります。
検算とは、割る数×商+あまりで求めることができます。
下図は、H7セルに検算の式を挿入している図です。
セルB7の数値が割る数、E7が「QUOTIENT関数」の商、F7があまりとなっています。
G列に「INT関数」による商の検算の結果を、H列に「QUOTIENT関数」による商の検算の結果を表示してみました。
すると、一見「INT関数」の方が正しい割り算をしているように見えます。
しかし実は「MOD関数」によって求めたあまりが、マイナスの割り算では正しい数値を求めることができていなかったのです。
あまりが負の数になっている点が正しい数値ではない点です。
負の数(マイナス)の割り算のあまり
一般的に、わり算のあまりは次のようにして求めることが可能です。
割られる数-割る数×商=あまり
その計算をF2セルに入れて計算しなおしてみます。
数式は「=A7-B7*E7」となります。
すると、あまりが変わり「QUOTIENT関数」による検算の方が正しい結果となりました。
負の数(マイナス)の割り算はQUOTIENT関数で
同様にF列のあまりの計算式をF7セルをコピーした状態が下図です。
はい、検算結果は「QUOTIENT関数」による検算がすべて正解となっています。
ですので、負の数(マイナス)の割り算に関しては「QUOTIENT関数」による割り算の方が正しい、ということになります。
あまり負の数(マイナス)の割り算は利用する機会はないと思います
ですが負の数(マイナス)の割り算が必要なときは、「INT関数」「MOD関数」の組み合わせではなく、「QUOTIENT関数」による計算が正しくなります。
正の数・負の数のどちらの割り算には「QUOTIENT関数」の利用をおすすめします。
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